実家の相続で気を付けるべき事

なぜ兄弟は揉める?骨肉の争いとなる家の相続トラブル3つ原因

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実家問題、相続問題・・・
近年あらゆる場面で耳にするこれらの言葉。

そして、必ずセットになって問題となるのが、「骨肉の争い」だ。
「実家、家の相続問題なんて、自分の兄弟ではまずありえない」等、自分とは無関係の話だと思い込んでいる方も多いでしょう。

しかし、実際に直面(両親の死に)してからでは、どうする事もできない場合も・・・。
もしも、現在、高齢で病にふせているご両親を抱えている方、またはもはや介護がなければ生活できない、などの危機的状況にある方については、不謹慎かもしれませんが、万が一に備え今のうちに家の相続について理解を深めておくといいでしょう。

兄弟、姉妹、親族関係が多ければ多いほど、「なぜ家の相続で揉めるのか」具体的な内容を把握しておくだけでも、スムーズな相続が期待できます。
今回は、実際に発生している「家の相続トラブル」について、いくつか紹介します。

紹介した揉める原因を参考に、近々発生するであろう「家の相続」の円満な解決に活用してください。

原因1・「家(建物)」は分けられない

1円まで細かく分けられる「現金」や「預貯金」と違って、家、車、といった動産、不動産は、とにかく均等に分けるのが難しいのが、トラブルの原因です。
例えば、土地の場合だと、「ここからここまではおにいちゃん、ここからはおねえちゃんね」等、一応分けて、その後、各自自由に家を建てたり、駐車場を作ったりなどの活用方法もあるでしょう。

しかし、すでに形があって、かつ老朽化している家を均等に分ける、というのはまず出来ません。
「トイレの部分はおにいちゃんね、キッチンはおねえちゃん、ベランダは三男で、次男は庭ね」なんて分ける相続人なんて、いませんよね。

皆がもし共同生活をした場合でも、こんな風に分けてしまっては、後々トラブルへと発展するのは明らかです。
だからこそ、家の相続は、確実に揉めるのです。

また兄弟(姉妹)親族など相続人が多ければ多いほど、受け取るものが少なくなるため、確実に揉めます。
でもここで、こんな風に声をあげる人が・・・

「家の相続のことで兄弟関係が悪くなるなんてイヤだ!ならとりあえず共有名義に使用じゃないか」と。
もしくは・・・

「慌てる必要はない!相続に期限はないのだから今は亡き父(母)の名義でそのまま放置しよう」と。
しかし、いずれの方法も得策ではありません。

なぜなら、共有名義で残した場合、
兄弟の一人が、勝手に家を何かしらの活用し、強引に自分モノにするかもしれませんし、それを元に多額の借金を背負うかもしれません。

また、放置した家は、確実に老朽化が進み、近隣トラブル、空き家問題等の今話題の社会問題へと発展し、やはり相続人に悪い影響を及ぼします。

対策は?

最も良い対策方法は、家を売却する方法です。
売却することで、細かく分けられる「現金」にできるので、争いを避けるためにも、この方法が一番の方法です。

ただし、家の価値などによっては、受け取る金額が少なくなる可能性も極めて高いので、事前の話し合いは時間をかけて行いましょう。

原因2・利用者と所有者の名義が違う!

長男夫婦、次男夫婦は都心に出て両親と別居、その為三男夫婦が親と同居の生活中、両親が他界。
その後、相続で家を相続人で共有名義にしたが、その後も三男夫婦がそのまま住む、という場合に兄弟は揉めます。

この場合、最も多いのが、配偶者(嫁)からの苦情かもしれません。例えば、都心で別居している長男、次男は、自分達の財布から「家賃」を支払い、生活をやり繰りしているのに、三男は、タダでそのまま実家に住んでいる、と言うことへの不満が勃発。

「そろそろ実家を売って、現金を分けてくれないかしら」
「私たちも家賃なしの実家に住みたい」
「三男は、タダで住んでいるのだから、その分こっちに支払いなさい」

等、一見理不尽とも思えるようなトラブルが発生します。
しかし、三男としては、これまで親と同居し、甲斐甲斐しくも面倒を見てきたつもりなので、そろそろ実家を売って、マイホーム資金にしたい、と考えているはずなのです。

このように三者三様の価値観、意見の違いによって、家の相続問題は、とにかく揉めます。

対処法

この場合、すでに両親が他界しているのであれば、問題はさらにこじれるかもしれません。
なぜなら、同居していた、世話をしていた、という意見があまり通用しないからです。

多少、三男の意見が有利になる可能性があるとしても法律上は、兄弟3人に平等の権利があるので、残念ながら三男側の意見が通る事はありません。
ただ、かなり揉める事は明らかなので、専門家を間に立てるのが得策。

一方、もしもご両親がわずかながらにご存命であれば、生前贈与や遺言書等でその意志を明らかにしてもらうのがいいでしょう。

生前贈与

生前贈与とは、親が生きている間に財産を譲ることです。
ただし、この場合、相続税の減額はできますが、贈与税がかかりますがトータルでみると財産にかかる税金が減額できるので、以前よりも生前贈与で対応するケースが増えています。

生前贈与の対象は、孫の世代20歳以上、さらに贈与側も60歳以上となっています。
さらに次のような注意が必要です。

例えば、認知症で正常な判断力が低下している両親からの生前贈与は認められませんし、病気でふせている両親から強引に取り付けた生前贈与契約書も無効となります。
本人(家の所有者)の意思表示がはっきりしてはじめて、生前贈与が成立するので、この場合も第三者専門機関に相談するようにしましょう。

原因3・全員の合意取りが難しい 

兄弟(姉妹)等相続人が多ければ多いほど揉めるのは当然です。
その理由は、各々で、家に対する意見、価値観、現在のライフスタイル、などがまったく異なるからです。

その為、全員の意見を合致させるのは、とにかく困難です。
例えば、

「家は残して共有名義にしようよ」
「家を売って現金を頂戴」
「分けるなんでいや家は私が受け取る」
等・・・。

家の相続手続きには、相続人全員の合意が原則必要不可欠です。
その為、一人でも反対なら手続きは難航し、もちろん売却も出来ません。

さらに、家の状況や場所、などによっては、不動産で相続した方が良い場合もあるので、一概に「コレがいい」とは言い切れません。
しかしながら、家などの建物は、時間とともに古くなり、その価値を失うことが一般的なので、あまり悠長にもしていられません。

対策は?

そこで、今すぐできるのが、家の価値を専門家に出してもらうことです。
どの程度の価格で売却できるのか、を具体的な数字にすることで、それぞれにどのくらいの現金が入るのかが明確になります。

またはじき出された数字によっては、「家をそのまま残そう」という方向へと話も進むかもしれません。
いずれにせよ、円満解決には、今ある相続すべき家が、どのくらいの「価値があるのか」を明らかにしてください。

売却、査定については、不動産、不動産鑑定など専門の業者に相談するようにしましょう。