実家の相続で気を付けるべき事

残された家の相続ってどんな理由で揉める?特に多い兄弟の事例

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もし親に今、何かあったら?
ただ悲しむだけ、では終わりません。

亡きご両親が残したもので、最も問題となっていますのが、「家」です。
そしてどんなに仲の良いご兄弟、親族でも、残念ながら家の遺産相続問題では、必ず揉めてしまうのです。

何も脅したり、大げさに表現したり、しているのでもありません。
また家の相続問題は、他人ごとでもなく、だれにでも起こりうる問題だということを忘れないようにしましょう。

「私たちは大丈夫よ」と簡単に考えてはいけません。
もうすでに始まっている親の死、もしくはもうそろそろ相続が始まろうとしている状況下での楽観的な態度と、あいまいな情報だけでは、確実に相続がもたらすさまざまな悲劇に巻き込まれてしまいます。

亡き両親が残した家の相続で兄弟や親族が揉める、もめないは、実は両親が他界してからはじめてわかること。
だからといって、自動的にスタートする相続を放置したり、無視したりすることは、さらなる悲劇を生むのでできるだけ早めに対処できるよう準備しましょう。

そこで今回は、残された家の相続において、どのようなトラブルが起こっているのが、一般的なケースを例に紹介します。
現在、相続の真っ只中に居られるかた、または身近にそのような状況が迫っている方は、参考にして頂けると幸いです。

最も多いトラブル!「両親と別居または兄弟(姉妹)が同居」

兄弟の相続で最も多い例が

  • 兄が独身で実家(戸建て)に親と同居、弟が結婚して自力でマンションを購入し親と別居していた場合
    等です。

    このケースでは、父、母が他界した後残された実家(戸建て)が両親いずれかの名義になっている場合をどのように分割するか、という問題ですが、それぞれの意見は次の通りです。

  • 両親と同居の兄の主張

    「長年ずっと両親と過ごし、年老いた両親の介護も長年一人で引き受けたのは自分(兄)だから、この家は自分のモノで、どう処分しようと自分の勝手だ」という主張。
    弟は、そんな自分から家を奪おうとしている、親の面倒も介護も何一つ協力しなかったくせに、何を今更・・・。

  • 両親と別居の弟の主張

    「兄は介護といいますが、すべて介護士さんや病院にお任せしていたので、介護とはいえません。
    家賃なしで長年住まわせてもらっていたと考えるのが妥当で、いわゆる寄生していた、といっても過言ではありません。」という主張。
    だからこそ、親の他界を機に、家を売却して、兄と均等に相続したい・・・。

    このように兄弟であろうと、考え方は人それぞれです。
    また、家族の事は、家族でしかわからず、それぞれの主張がどれだけ正しいのか、判断が難しいところ。

    しかし、法律上は、介護の有無に限らず、兄弟は平等に相続人の権利があるので、兄、弟で均等に分けなければ行けません。
    ただし、一人の意見だけで家を売却することも共有名義にして、有効活用する事もできないので、やはり慎重な話し合いが求められます。

    さらに、この場合、両親のいずれか一方が他界し、一方が生存している場合、家を売却すると、残された親(父もしくは母)の居場所がなくなるので、その後の事も相談しなければいけません。

兄弟で円満に分割するには?

家の相続でもめないためには、次の方法があります。

  • 現物分割

    形を変更せず、そのままの状態で相続する方法です。
    上記のケースでは、長年同居し続けてきた兄がそのまま家を相続し、弟には、別の何か(自動車、現金、預貯金)等を振り分けるという方法。

    しかし、家を売却して現金化したい、と主張する弟との円満解決は難しい可能性が考えられます。

  • 換価分割

    遺産を金銭に変えて、それを分割する方法です。
    上記のケースでは、家を売却して、現金化し、相続人(兄、弟)で平等に分割するやり方。

    1円にいたるまで細かくきっちり分割できるので、家の相続では、この方法を取るケースが一般的ですが、これはあくまでも相続する家に価値がある場合、もしくは家が売却できた場合です。
    家や土地などの不動産は、売れなければお金に変える事はできないので、価値がなければこれは有効ではありません。

    場合によっては、売るために借金が膨らんでしまうケースも。
    その他、家を売却する際、被相続人(亡き父など)のままでは、手続きが出来ませんので、やはり兄弟での話し合いが必要不可欠です。

    また、難しい登記や税金問題が関わってくるので、専門知識がある方に相談することが必要です。

  • 代償分割

    特定の相続人が、相続分よりも多くの遺産を取得する場合、他の相続人に対し金銭で過不足を調整することで分割する方法。
    上記のケースでは、家の相続を一旦兄がすべて相続し、兄が弟に対し、相続分に対する代償金を支払うことで解決する方法です。

    ただし、取得する遺産の額によっては、兄が調整分として弟への支払い分がマイナスになります。
    その為、すべての状況に該当するとはいえません。

注意点

上記の方法で、兄弟で揉めている間にも、さまざまな手続きの期限が迫っています。
この場合、特に注意が必要なのが、「相続税の住宅に関する制度」です。

兄が、そのまま親が残した家に住み続ける場合は、宅地の330平方メートルまで相続税評価額が80%減額できます。
相続の控除内となった場合は、税金が一切発生しないというケースもあるので、早めに手続きをしたほうが賢明です。

しかし、10ヶ月以内に申告しなければ、これらの制度が適応されず、多額の税金を請求される可能性もあるので、兄弟間のトラブルに時間をかけてもいられません。
以上のことから、兄弟といっても、それぞれに主張が異なり、自分に有利な方向へと相続の話を進める傾向にあります。

相続に関する知識が乏しい場合は、同居していた兄が強引に相続を進め、気づいた時に、弟には、何一つメリットはなかった、という場合もありますので、この機会にぜひ、相続に関する情報をしっかり叩き込んでおくようにしましょう。

もしも現在、亡き親が残した実家問題で頭を抱えている方で、上記のケースが自分の場合と酷似している場合は、慎重に話を進めるようにしましょう。