実家の相続で気を付けるべき事

亡き両親の残した家の活用3つパターンのメリット・デメリット

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親の持ち家だった実家を、両親死亡後に相続したけど、この後どうしたらいいのか、正直迷っている方も多いでしょう。
例えば、

  • 兄弟の誰かが実家に住む
  • 賃貸にして収入源を得る
  • 売却して金銭にする

等の選択肢がありますが、いずれの方法もメリットだけではありません。
そこで、今回は、実家の相続の3つのパターンのメリットデメリットを紹介します。

パターン1「子供(相続人)が住む」

「親が残した家、この家には、想い出がたくさん詰まっている・・・だから兄弟で仲良く住もう!」と決断する相続人もいるでしょう。
親が亡くなった直後、悲しみから兄弟にかつていないほどの特別な感情から、このように気持が動く事も珍しくありません。

持ち家だし、家賃も発生しないし、兄弟仲良く生活できれば、楽しいし、かつ、無駄な出費もないし、一件落着!?とはいきませんよね。
では、まずは子供が住む場合のメリットから考えて見ましょう。

メリット

何よりも、小さい頃から住み慣れた大切な「家」をそのまま残すことが出来ます。
仕事や進学、結婚などあらゆる事情で一度は、実家を離れたものの、やっぱり家族全員が過した家に対する思いは、ひとしおです。

それを両親が亡くなったからといって、すべて処分するのは難しいところです。
また、その場所に住まいにしろ、年に2回の正月とお盆に帰省できる「田舎」があるというのは、都心で生きていくものにとっては、すごく心強いですよね。

さらに、何よりも大勢で、しかも自分の家、でゆったりと楽しく生活できます。
マイホームを持たず、賃貸マンションやアパート、独身の兄弟がいる相続人の場合には、メリットはたくさんあるかもしれません。

デメリット

しかし、残念ながらデメリットの方が多いのが現実。
兄弟といえ、成人して、家を一度でも離れてしまうと、それぞれに関わる環境によって、考え方、生き方、価値観などがまったく違っているのです。

さらに、結婚しているもの、自力でマイホームを得たもの、都心で成功しているものなど、兄弟といえ、現在の環境も違います。
その他にも、「私一人(私の家族)がここに住みたい」と要望するもの、「家を残したいけど兄弟みんなで生活するのはイヤだ」という意見も出てくるはず。

特に、相続人である兄弟のいずれかが既婚者の場合は、嫁子供という問題もあるので、兄弟全員で実家に住む、と言うことに多大な問題が発生します。
この場合、デメリットのほうが多すぎて、相続の話が中断することがあります。

その時注意したいのが、共有という所有形態で、ひとまず話を中断させることです。

・共有名義

実家の相続の原因として最も多い所有形態となりますので、この方法を選択する場合は慎重になってください。
共有名義とは、実家など一つの不動産を複数の相続人で所有することです。

単独で相続することに対し、相続人の一部が不満をていした時に、手っ取り早い解決策として利用されます。
しかし、実際問題として、分割が極めて難しい家を共有名義にしても、片方が例えば売却にノーといえば、相続の話が進みません。

また片方が、「単独で住む」ことにノーといえば、子供が実家に継続して住む事もできず、結局空き家として、さまざまな問題を抱えることになるでしょう。
売却するにし、他人に貸す、壊すにしろ、共有名義では、なかなか合意が取れないため、おススメできません。

パターン2「第三者に貸すという方法」

続いて、賃貸で家賃収入を得るという方法です。
相続人の兄弟全員が、両親が他界するまで別居で、すでにマイホームを持っている、また結婚し、すでに家族がいる場合などに選択する方が多いのも事実です。

さらに、相続した実家が都心ではなく、田舎などにある場合は、宿泊先として有効に活用することもできるでしょう。
人に貸せば、それなりに収入も入るし、と安心ばかりではありません。

では、第三者に貸すという方法のメリット、デメリットをみてみましょう。

メリット

何よりも家賃収入が確実に入るので、空き家として放置するよりもすごく良い方法ですよね。
場所によっては、本業以外の収入源として活用する事もできるかもしれません。

また、賃貸物件として活用する場合は、戸建てでなくてもマンション、などでも活用できます。
安定した収入源の確保は、今後、万が一仕事がなくなった場合(リストラ、退職、老後)でも安心です。

デメリット

デメリットは、なんといっても初期投資費用です。
親が長年住んでいた家をそのまま賃貸物件として利用することは出来ません。

人が「ここなら毎月5万払ってでも住む価値があるわ」と思うくらいの状態にしなければ行けません。
相続した実家の状態にもよりますが、大幅な改修工事が必要な場合は、数百万の初期投資は必要不可欠です。

さらに、そのくらいの予算を投じても、最初の数年間は、まったく借手が付かず、無収入という事も。
その他にも、共有名義の場合は、家賃収入を相続人でどのように分けるか、誰が物件を管理するか、修繕費用やクレーム対応は?など、またしてもさまざまな問題が発生します。

その事もあらかじめ考えて賃貸物件として活用してください。

パターン3「売却するという方法」

家の相続で最もおススメ、相続人全員が納得する可能性が高い方法が、家の売却です。
平等に分割することが難しい建物、皆が一緒に住むことができない実家を、ご両親亡き後、穏便に解決するには、この方法に勝るものはないかもしれません。

ただし、必ずしもどのような家でも売却できる、というわけではありませんし、売却したからといって必ずしも良いともいえません。
では、具体的なメリット、デメリットを紹介します。

メリット

お金に変えることで、相続人全員に平等に分けることができるというのが最大のメリットです。
どんなに想い出の詰まった実家だとしても、家は時間とともに朽ち、いずれ処分の対象物となるでしょう。

また家があることによって、その土地から離れられず、本当にやりたいことができず身動き取れないという方も。
さらに、家などの不動産の価値というのは、時代時代で大きく変化し、値上がりもあれば、当然値下がりもあります。

以前は数千万以上もの価値のあった家が、数年後あっというまに数百万もの価値の低いものになってしまったという場合、家を相続したものの不満は尽きません。
そんなあやふやな財産を大切にとっておくよりも、現金に換え、相続人全員で平等に分けた方が一番良い方法といえます。

デメリット

売却が断然良いことは、皆承知。
しかしそれがなかなか上手く進まないのが現実。

なぜなら、相続人が思っている以上に評価額がなかった、思った以上にお金にならない、と思ってしまうと、なかなか手放せないのが一般的だからです。
もうすこし、後になれば、もっと高く売れるかもしれない、という安易な判断で空き家として放置する方が増え昨今の社会問題にも繋がるのです。

さらに、相続した家が、先祖代々引き継いだものだった場合、親族からの反対もあるでしょう。
その為、相続人の意志だけで売却ができない、万が一強引に売却した場合でも、売却後のお金をめぐって親族間のトラブルになる事もあります。

メリット、デメリットをよく考え、兄弟、そして親族の納得のもと、売却を進めるようにしましょう。

注意点

ちなみに、両親が介護施設へ入所している、病気で入院している、などあまりよい状態ではない、と言う場合は、不謹慎ですが、お亡くなりになる前に問題を解決するのがおススメです。
例えば、認知症になって、入所の必要や介護の必要が生じ、それに対する費用を家の売却で当てようと思っても、簡単に売却する事はできません。

親が認知症となった場合は、成年後見制度というものを利用する必要があり、その手続きにもかなりの時間が必要です。
後見人となる人は、親族、弁護士、司法書士、社会福祉士、法人などがあります。

申し立てから3,4ヶ月の期間が必要で、費用も10万ほどかかる事もあります。