実家の相続で気を付けるべき事

両親他界で持ち家が問題に!?トラブル回避に役立つ遺産分割の方法手順

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今回は、兄弟における遺産分割協議について説明します。
ご両親が亡くなり、遺産(実家)の相続人(兄弟)が複数の場合は、特に相続に関するさまざまな問題が発生します。

いくら仲のよいご家族でも、お金に関わる問題である以上、その関係はもろくも壊れてしまう危険性が高いので、相続がスタートした今、ちゃんと理解しておくようにしましょう。

法定相続分の分割について

法定相続分を説明する前に以下のケースを理解しておくようにしましょう。

実例

父親が亡くなり、相続人は長男、弟、妹の3兄弟で、配偶者である母やすでに他界。
父名義の家に、長男とその家族が以前より同居。

弟は結婚し別居、妹は独身で現在賃貸に住んでいるという状況の場合ですが、父親とずっと同居してきた長男夫婦が家を相続し、預貯金等の現金を弟、妹で均等に分けたい、という兄の意見に対し、弟は賛成。

しかし、妹が、「法定相続で分割するのが当然なので、不動産もしっかり3等分しなければいけない」と主張というケースで考えていきます。

法定相続制度の勘違い?

  • 家の相続について、兄弟でもめてしまう原因の一つに、「法定相続制度」に関する理解不足があります。
    確かに民法第900条に法定相続分で分けると記載されていますが、第906条の「遺産分割協議」では、「遺産の分割状況その他、一切の事情を考慮する」と明記されています。

    つまり、一応「法定相続制度」をもとに家の相続をする必要はありますが、わざわざ分けられないもの(この場合「実家」)をわざわざお金に換え、均等に分ける事はない、という意味にも捉えられます。
    特に、被相続人の遺言書が残されていない場合は、妹の主張する法律の定めるところだけで、同居してきた兄の意見を退ける、と言う事はできないということ。

    このケースでは、時間をかけて、丁寧に兄弟の意見を一つ一つ聞きあい、じっくりと話し合うことで解決することが必要です。
    上記をふまえたうえで、法定相続分の分割を理解してください。

  • 法定相続分では、遺産相続の割合が次のようになっています。

  • 父親・母親、いずれか一人が他界し、相続がスタートする場合
    相続する家の2分の1を健在の親が相続、残りを相続する兄弟の数で分割し相続します。
  • 両親いずれも他界し、相続がスタートする場合
    兄弟が相続人となるので、兄弟の数で分割し相続します。

遺産分割の方法について

遺産分割には4つの方法があります。

現物分割

その名の通り、相続した家を現物のまま分ける方法です。
相続人となる兄弟が2名の場合、協議の上、どちらか一方が家を相続したら、何の財産も相続できなかったもう一方の不満が生じます。

万が一、広大な敷地、建物で、どうにか分けることができたとしても、この後、兄が相続した部分の家を壊す、撤去すると主張した場合、その家に住む弟に影響が及ぶ事もあります。

上記のことから、相続するのが家だけの場合には、この方法は不適。
例えば、家と預貯金が同じくらい残されている場合は、兄が家を相続し、弟が現金で相続する、というやり方が利用できます。

換価分割

亡くなった両親が残した家(相続財産)を、お金に換金し、その価値に応じて相続人となる兄弟で分ける方法です。
現物として残された家などの分割に最適で、上記のように相続するのが、建物だけ、という場合に有効。

お金にすることで、細かく平等に分割できるので、兄弟の相続問題が回避しやすいというメリットがあります。
また老朽化が進む家の相続、空き家として放置された家の相続、などの場合もおススメ。

その他、税負担の軽減ができるなどさまざまなメリットのある遺産分割の一つです。

代償分割

残された家を一旦、特定の相続人が相続して、他の相続人に金銭で清算する方法です。
親と同居してきた長男夫婦が、両親他界後もその家に引き続き住みたい、という場合に採用されることが多く、長男が家を相続して、その代わりに現金でその他の兄弟に遺産を分けなければ行けません。

ただし、支払いをするにあたり、まとまった現金が必要(原則一括支払いとなる)で、その分を借金するなどの必要が生じることもあります。
兄弟の話し合いの上、一括支払いを分割にすることも可能。

共有分割

家の分割が事実上難しい場合で、「とりあえず皆のモノで」という方法として採用されることが多い。
(このままでは兄弟でさらにもめてしまうという「一時的な回避策」として)

共有とは、相続する家をそれぞれが取得するのではなく、共同名義として残すもので、将来必ずトラブルが勃発します。なぜなら、いずれ共有財産を相続人の一人が、強制的に自分のモノにしようと試みたり、勝手に使ったりと暴挙に出ることが予想されるからです。

兄弟といっても生活状況、経済的問題は、数年後どのように変化するかだれにも分かりません。
経済的に有利な相続人は、共有で持つことにさほど異論はないかもしれませんが、経済的不利な相続人にとっては、すこしでも金になるものは独り占めしたい、という欲求が膨らむでしょう。

このように時間の経過とともに、必ず、環境、考え方が変わり、さまざまなトラブルとして浮上します。
上記4つのメリット、デメリットをきちんと理解した上で、自分たちの相続には、一番どれが適しているかをしっかり相談しましょう。

遺産分割協議のやり方・流れ 

遺産分割協議とは、次のように進めます。

手順1「協議書の作成」

 

最終的に「遺産分割協議書」という書面作成で内容を確認し、それにそって相続が確定します。
その為にも、遺産分割協議書の作成が必要です。

作成には、最初に相続人を決める必要があります。
全、相続人を知るためにも、被相続人(両親)の出生から死亡までの内容が分かる「除籍謄本」「改正原戸籍」「戸籍謄本」等を入手してください。

これらの書類は、各市町村役場で入手できます。
作成にあたり、相続人全員の合意が必要なので、全員が話し合いに参加しなければいけません。

一人でも合意に至らない場合は、この書類は無効です。
また作成後、協議内容を理解していない、認識できていない、という相続人がいたら、最初から遺産分割協議のやり直しが必要です。

手順2「相続財産の確定」 

続いて、相続財産(家)の確定をしましょう。
その為には、家の登記簿謄本の準備が必要です。

手順3「遺産分割について話し合う」

全ての準備が整ったら、相続人全員で家の相続の分割について、じっくり話し合いましょう。
全員の合意が得られたら、内容を遺産分割協議書にまとめ作成し、全員の署名、押印が必要です。

この書類を持って、相続する家の名義変更、相続手続きが開始できます。
遺産分割協議書の作成に期限はありませんが、税の特例をうけるには、相続開始から期限が決まっています。

早めに処理したい場合は、専門家などに依頼、相談することをおススメします。