実家の相続で気を付けるべき事

いつまでも放置してもいいの?相続の手続きっていつまでにやるべき?

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父親や母親、実家の所有者が突然の他界、残された「家(実家)」をそのまま放置していませんか?

この場合、さまざまな問題が発生し、場合によっては、借金というリスクを抱える危険性もあるので、早めに対処することをおススメします。

今回は、亡くなった両親が残した家の相続のやり方、放置した際のデメリットなどを紹介します。

残された家の相続って、いつまでにしなきゃいけないの?

期限はありませんが、それは、できる限り「早く」です。
理由は、家などの不動産に限らず、相続とは、被相続人(家の所有者である父や母)の死亡と同時に自動的にスタートするからです。

相続人がそのことについて、知っていようがそれは関係なく、当然のこととして、始まります。
その為、「両親が亡くなった後に残された家を放置している」「まだ相続していない」というのは、ただ単に「相続税などの申告手続きを怠っている」ということになるのです。

もしも、相続しないで放置したら?

家などを含む遺産相続の手続きをしないでいると、いったいどのようなことが生じるのか?

まず、第一に本格的に兄弟で相続の相談を開始した時に、両親の死亡時(この場合相続開始日)と財産状況に何かしらの変化が起こります。

例えば・・・
直系卑属となる兄弟、もしくはその子供、孫といった血族が相続人の優先順位として浮上しますが、いつまでも放置された家を何かしらの方法で、関係者の了解をとらずに、処分するというケースも増えています。

ただ、預貯金や家、土地などの不動産については、相続人の一部で勝手に処分する事は容易ではありませんが、場合によっては、違法な方法で、使い込むことは、できるかもしれません。

それが原因で、兄弟(姉妹)親族関係が壊れ、いわゆる骨肉の争いが勃発することだって、今の時代珍しいことではありません。

第二に、相続すべき家(実家)を相続人の一部が長い間占有したり、また別の第三者が利用することが長期にわたり続くことで、これまでとは異なるまったく新しい「権利」を主張し、本来均等に相続すべき家を独占的かつ強引に使い続ける可能性も生じます。

例えば・・・
実家が遠方(田舎)にあって、直系卑属である子供らは、都心に別々に住んでいるとしましょう。

両親のところには、三男夫婦が同居。
しかし両親と三男が他界、両親名義の家に嫁が残され、長期にわたり住み続けていた場合などに、さまざまな問題が発生する危険性もあります。

第三に、相続の手続きを長期にわたり放置すると、その間に両親に続き、相続人の一人、また一人と死亡や行方不明、失踪、病気で寝たきりなど、手続きが困難な状況へと環境が変化します。
相続人が多ければ多いほど、解決が難しく、また時間の経過とともに、本来の事情を知るものが減るという状況から、取り分についても、さらに複雑になります。
第四に、相続開始日から時間が経過すると、家、土地などの不動産価値が上がるという事は、殆どありません。
昨今の変動が著しい時代で、相続のタイミング、場合によっては、売却のタイミングを逃してしまうと、本来の価値より大幅に減額した状態で遺産分配に応じなければならない場合もあります。

注意しよう!放置した「実家」の現状

そして昨今の社会問題となっているのが、「空き家問題」です。
総務省の住宅、土地統計調査によると、全国で現在放置されている「家(空き家)」は2013年の10月時点で約820万戸。

この数字は過去最高で、地方を中心に大変な社会問題となっています。
両親が住んでいた家が、両親死亡と同時に放置され、いずれ売却や賃貸するつもりだがそのままにしているなど殆どが、相続手続きさえしてない、という状況です。

ただ、相続に関する期限はありませんので、特に問題はない、と思うかもしれません。
しかし、無人となった空き家を放置することで、さまざまな問題が生じ、相続人に影響を及ぼすのは明らかです。

例えば、
無人となった家は、当然メンテナンスが行き渡らないため、老朽化が進みます。

すると、倒壊の危険性、防災上の問題が浮上し、近隣住人とのトラブルとして頭を悩ますことになるでしょう。
その他、無人となった家に別の第三者が占有し、そこで犯罪が行われるというリスクもあります。

もしも、売却や賃貸、住み替えなどを考えている方は、そこで犯罪などの問題が発生すれば、売却にも影響を及ぼしかねないため、早急な対策が必要不可欠です。

特定空き家対策特別措置法

さらに、昨今設置された「空き家対策特別措置法」によって、本来更地の6分の1程度だった固定資産税の税率が更地と同額となり、空き家を所有するものは従来の6倍もの固定資産税を課税されることも・・・。

また、1年以上も空き家として放置した場合、自治体が立ち入り調査を実施し、罰金などの処分対象となります。
両親が残した家を、1年以上ライフライン状況をふまえ、まったく使っていない、メンテナンスを怠っている、という場合は、速やかに対処するようにしましょう。

どのような手続きで相続した家が自分のモノになるの

兄弟、孫、親族との話し合いの上、相続するものがはっきりと決まったら、次の方法で家を相続し、自分のモノにしましょう。
ただ、家や土地などは、車などの動産、現金や株券、預貯金などとは違って、そのまま受け取れるわけではありません。

家、土地などの不動産については、相続するものが決定したら、登記が必要です。
長男、次男の2人で一つの「家」を相続する時は、それぞれの持分を決める必要があります。

ただ、家のように現存する建物の場合、一つを二つに分けるという方法が、現実的に難しいため、一人で相続する、もしくは家を売却して相続する、という方法が妥当です。
その場合でも、まずは、被相続人と相続人全員の戸籍謄本が必要です。

特に被相続人については、すべての相続人を明らかにする必要があるので、出生から死亡までがわかる書類等が必要です。
登記申請については、司法書士、弁護に依頼したほうが賢明です。

家の名義が祖父だった場合は?

亡き両親が残した家が実は祖父の名義だった!と言う場合もあります。
家に関しては、さほど多くはありませんが、土地などについては、祖父の代からそのまま使用し続けているというケースが大半です。

この場合は、かなり手続きが面倒になりますので、遺産分割の調停を申し立て、専門家を間に立てるのが一番良い解決策です。
まず、登記の順番として、亡き祖父から、亡き父(もしくは母)への家督相続登記が必要です。

その後、亡き父(もしくは母)から現在の相続人への相続登記を行います。
しかし、このとき、祖父の兄弟、もしくは、父の兄弟が生存する場合は、かなり複雑かつ面倒な手続きや書類の準備、話し合いなどで時間を要することを覚悟しましょう。

以上のことからもわかるとおり、残された家の相続は、「出来る限り早く」というのが一番の方法です。
放置する時間が長ければ長いほど、面倒で複雑な問題が浮上し、場合によっては、話し合いが何年、何十年と長引き、さらに問題が悪化する可能性も高くなるので、十分な注意が必要です。