古くなる一方の空き家を管理し続けるのは、費用や労力などの面で厳しい問題があります。
この際、古くなった実家を思い切って解体するという方法も考えてみてはいかがでしょうか。
空き家をリフォームやリノベーションで新築同様に改修し、活用の幅を広げるという方法をとるにはかなりの費用が必要です。
建物の現状や敷地の広さなどによって条件は異なりますが、その後の活用を考えると数千万円もの費用を要する場合もあります。
それとは違い、解体にかかる費用は数百万円程度で済むだけでなく、一部の自治体では助成金を補助する制度を実施しているとこもあります。
空き家の解体にはリフォームやリノベーションのようにローンを組む必要がほとんど無いため、リスクを最小限に抑えた土地活用が期待できます。
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ここでは、更地の活用方法として人気のある3つの方法をご紹介します。
もくじ
【駐車場】更地活用の定番リスクの少ない方法
空き家を解体した後、最も初期投資を抑えた活用方法として注目したいのが駐車場です。
更地を駐車場として運用するという方法は、他の方法に比べてリスクがかなり低いという特徴があります。
運営開始後に駐車場の経営に不安を感じたときは、1ヶ月前にその旨の通知を行うだけで手軽にもとの状態に戻す事ができるというのもメリットのひとつです。
駐車場として安定した収入を得たい場合は、更地をアスファルト舗装したり、屋根を付けるなどの整備をしてもいいでしょう。
この方法なら多少の費用はかかるものの、更地のまま活用するより多くの利益が見込めます。
本格的に駐車場運営を行ない高い収益を獲得したいなら、コインパーキングに作りかえるという方法もあります。
通常の駐車場と比較すると利用料金を高く設定でき、その分多くの収益が期待できるはずです。
条件次第ではコインパーキング運営会社に運営を依頼することで、十分な利益を生み出す等の土地活用も可能でしょう。
少ない資金で始められるというメリット
老朽化が深刻な空き家を解体した後、手軽にスタートできるのが駐車場経営です。
駐車場を経営するといっても、運営方法にはいろいろな種類があります。
例えば、空き家解体後の更地に一切の手を加えず、近隣の住民に格安で駐車場として利用してもらうスタイルから、ホームセンター等で購入した材料を使って自ら屋根や区切り線を引くような手作りスタイルの駐車場もあります。
ほかにも更地をきれいに舗装し管理人が常駐するスタイル、無人でも機能するコインパーキングなど実にさまざまです。
いずれの場合も、比較的少ない費用で始める事ができるのがメリットといえるでしょう。
一度駐車場を始めてもすぐ元通りの状態に戻す事できるので、失敗によるリスクを最小限に抑える事ができるというメリットもあります。
更地のまま固定資産税だけを払い続けるよりは、少ない収入でも確保したいという方にとっては、大変魅力的な活用法ではないでしょうか。
ひとつ注意したいのは、コインパーキングやビルタイプの駐車場にするには建築や設備投資等にかなりの費用がかかるという点です。
駐車場の場所によっては、大規模な駐車場を作ったにもかかわらず期待したほど利用者が確保できないというケースもありますので、どのタイプの駐車場にすべきかを事前にマーケティングする必要があるでしょう。
税制上の優遇が少ないというデメリットも
多くのメリットがある駐車場経営ですが、その一方で節税効果があまり期待できないというデメリットもあります。
空き家を改修して賃貸物件として運営する場合、相続税・都市計画税・所得税・固定資産税などの減税が行われるので節税効果は高くなります。
ところが空き家解体後の更地を駐車場にしても、土地の評価が更地扱いとなるため相続税の減税がないうえ、賃貸物件のような固定資産税や所得税の優遇措置等もありません。
駐車場経営は賃貸住宅やアパートの運営と比較すると確かに節税効果は低いものの、皆無というわけでもありません。
更地のアスファルト舗装やフェンス等の減価償却資産を設置していれば、固定資産税の評価減の督励を受ける事は可能です。
固定資産税や都市計画税を経費として計上できる分、所得税の減税も期待できます。
更地のまま放置した場合と比較すると、少なからず節税効果はあると考えていいでしょう。
駐車場経営によるリスク
空き家解体後に手軽にスタートでき、少ないながらも節税が期待できる駐車場経営ですがリスクもあります。
駐車場経営によるリスクは大きく分けて次の2点です。
(1) 手軽にスタートできるために事前マーケティングが不十分になりがちで、結果として思うような集客ができず利益が出し難くなるケースがあるという点です。
集客するために看板を設置する、広告を打ち出すとなるとその分の費用がさらにかかってしまうので、空き家解体後の更地で駐車場経営をした場合、どのくらいの客が見込めるか、時間をかけて検討しておく必要があるでしょう。
(2) 駐車場内では車上荒らしや設備破壊による料金の踏み倒し、無断駐車などのトラブルが発生する可能性があります。
管理人が常駐していない駐車場で無断駐車を防ぐのは難しく、どの経営者も悩んでいる問題で防犯カメラなどの設置が必要になる場合もあるでしょう。
最近では不要になった車を不法投棄するトラブルもありますので、管理体制を強化する必要が出て来る事もあります。
【定期借地】期間限定の更地活用方法
空き家を賃貸したいが、自分が必要なときに返してもらえるのかという点が不安だというオーナーも多いようです。
居住者不在の空き家のまま放置していると、維持管理に手間が掛かるだけでなく、税金による負担や老朽化による破損などのリスクがあります。
それなら短期間であっても家屋を賃貸して収入を得た方がいい、というのが合理的な考え方といえるでしょう。
定期借地契約とは?
空き家などの不動産を第三者に賃貸した場合、必要になった時に返してもらえないかもしれないという問題を解決する方法が「定期借地契約」です。
「定期借地契約」とは平成4年に施行された「定期借地権」という法律に基づく契約を指します。
「定期借地権」は土地を貸すときに決めた期間が終了すると、賃地・借地関係が完全に消滅して貸し主に返還されるという制度です。
従来の借地権では貸し主が期間を定めて建物付き土地を貸し、期間満了になっても借り主が「まだ使いたいから今は返せない」と言えば、そのまま更新するほかはありませんでした。
しかし新たに制定された「定期借地権」では、借り主の意志に関わらず契約期間が満了になると更新される事なく土地の返還が行なわれます。
この「定期借地権」を利用すると、土地所有者はさまざまなメリットを得る事ができるのです。
定期借地権を使うメリット
「定期借地権」の最大のメリットは、空き家を売却しても契約期間が満了すれば必ず土地を返還してもらえるという点です。
建物(空き家)は処分しても構わないが、土地はいずれ自分で使用するから絶対に手放したくないという方にも「定期借地権」の活用がオススメです。
空き家を定期借地権付きの住宅として売却すれば、契約期間が満了すると土地を返してもらえるので、土地自体は長期的な収入源として残す事ができます。
土地の所有者だけでなく、借主にとっても「定期借地権」はメリットがあります。
「定期借地契約」で住宅を購入すれば、新築のマイホームを購入するより安い費用で済むというメリットが得られます。
新築の物件を購入しても30年から50年程度で老朽化が進み、改修や補修などの費用が必要となるでしょう。
そうした費用は掛かっても、格安で物件を手に入れられれば30年から50年くらい住めれば十分という気軽な気持ちで購入する事ができます。
定期借地権付き建物として空き家を売りに出すと、こういった需要を見込む事ができるわけです。
事業用定期借地
定期借地には「事業用定期借地」という考え方もあり、居住用ではなくビジネスのために土地を貸すという活用方法です。
これは事業用の建物を建築するために土地を貸すという方法で、全国のコンビニやファミレス等の建物は事業用定期借地によって運営されているケースが多いのです。
借地権の存続期間は30年以上50年未満で、契約期間終了後に借地人は建物を撤去し元通りの状態にして地主に返還するという条件があります。
事業用定期借地を設定するメリットは、以下の通りです。
・土地を貸しても契約終了後は更地で返還される。
・期間が決まっているので次の契約が進めやすい。
・保証金や契約期間中の安定した土地収入が見込める。
・立ち退きの際のトラブルの心配がない。
・テナントの退去リスクを回避できる。
上記のように一般的に地主が抱えやすいリスクは軽減され、土地の資産価値を高めることができるというメリットがあります。
事業用定期借地の契約に際しては公正証書を作成する必要がありますので、事前に公証役場もしくは専門家にご相談ください。
事業用の定期借地契約としても
空き家の立地条件によっては、事業用の定期借地契約の需要が見込めます。
事業用の場合、建物を解体して更地にするなどの必要性が生じるでしょうが、企業に一定期間土地を貸せるので長期的かつ安定した収入の確保が期待できるでしょう。
住宅用よりも比較的高い地代設定が可能なので、空き家を賃貸物件として活用するよりも高収入が予想できます。
【自動販売機】の設置で更地活用
空き地の場所によっては、自動販売機の設置で収益を見込むことができます。
自動販売機の設置に関しては、ほとんどの場合、メーカーサイドが初期費用を負担する事が多いので土地所有者のリスクはかなり低くなります。
販売機の設置による周辺のゴミ対策や空き缶の回収等の運営管理についても、すべてメーカー側に任せることも可能なため、所有者の負担はほとんどないと言ってもいいでしょう。
土地所有者が負担するのは自動販売機の電気代のみですが、どの程度のコストが掛かるのかについては事前に調べておく必要があります。
毎月の売上から電気代を差し引いた金額が月々の収入になるので、一定期間行ったうえで継続を検討するのも一つの方法です。
自動販売機の設置と2つの運営方法
自動販売機の設置は、一坪という省スペースでも実現可能です。
空き家解体後の土地がとても狭い、変形地で新しく家を建てるにもかなりの費用がかかる等の問題を抱えている方に大変オススメできます。
自動販売機を設置する際には、まず契約業者を選ぶ必要があります。
直接飲料メーカーに連絡する方法の他に、自動販売機設置専門の業者に依頼するという方法もありますので、ご都合のいい方法で契約を進めましょう。
同じ自動販売機の設置でも、土地所有者が自動販売機を丸ごと購入して仕入れから管理まで全てを行うスタイル、土地スペースと電気代を土地所有者が提供して商品の補充や空き缶の回収、自動販売機に関するクレームなどを全てメーカーに任せるスタイルなどの種類があります。
自動販売機を丸ごと購入して全ての管理を土地所有者が行う場合には、自動販売機で売れた商品から電気代を差し引いた金額が毎月の売り上げとなります。
1本あたりの利益は30円から60円前後で、電気代にかかるコストが3500円から10000円前後というのが標準的です。
商品1本の購入費用を抑えれば高い利益が見込めますが、手間がかかるというデメリットがあります。
土地スペースと自販機の電気代を負担し、その他の作業を全て業者に任せるスタイルなら面倒な手間は必要ないものの、1本あたりの収益が10円から30円前後とかなり低くなります。
どちらの運営スタイルがいいのかは、土地所有者の方の状況に合わせて選ぶといいでしょう。
売れる自動販売機を運営するポイント
初期費用も安価で固定資産税もかからない事から、土地活用法として人気の空き家解体後の自販機設置ですが、1本も売れなければ利益は出ないという問題もあります。
売れる自販機のポイントとして重要なのは、自販機を設置している場所がどんな環境であるのかを見極める事です。
例えば、学生の通学路になっている、ウォーキングやジョギングを行う人が多い、サラリーマンやOLの通勤路になっているなど、設置している環境を利用するターゲット層をチェックしましょう。
学生が多く利用する場所であれば、若い世代が好む飲み物やアイスクリームなどを販売する自販機を選びます。
運動を行う方が多い場所であれば、スポーツ飲料等を中心とした商品選びが必要です。
最近では自販機を商品の販売ツールとして機能させるだけではなく、防犯設備として機能させる事でより多くの方の注目を集められるというメリットもあります。
周囲にコンビニなどの店舗や街灯などがなく比較的暗い場所の場合は、防犯機能をもたせるような照明に工夫する、AEDなどが設置の自動販売機にする、災害時に対応するような自動販売機を設置するなどの方策がオススメです。
他の自動販売機と差別化を図る事で、安定した収益を得る事ができるでしょう。
自動販売機設置に関する注意点
手軽にかつ安定した収益が見込める自動販売機ですが、メリットだけではなくデメリットもあります。
自販機を多くの方が利用すればするほど、空き缶等のゴミが散乱するといった周辺住民や環境に迷惑を掛ける可能性もあります。
業者にすべての管理を依頼していても十分な対応がなされないケースもあるので、所有者自らも徹底した維持管理が必要となる場合もある事を知っておきましょう。