信頼して家の売却を依頼した不動産業者でも、契約後に信頼を裏切るような状況に巻き込まれるというケースもあります。
それが不動産業者による「囲いこみ」や「売り止め」という行為です。
一部の不動産業者に見られるこれらの行為は、売主に多大な損害を与える危険性があります。
残念ながら昨今では大手・中小に関わらず、「囲いこみ」や「売り止め」などの問題ある行為が目立つようになってきました。
少しでもそのような行為が確認できたら担当者に指摘するか、もしくは速やかな契約解消を申し出るなどの対応をとってください。
「囲い込み」「売り止め」って何?
家を売りたいと相談されたら、多くの不動産会社は「レインズ」というネットワークに売り物件を登録します。
レインズは不動産会社のみが利用できる情報ネットワークで、どのような家が売りに出されているのかをリアルタイムで確認できるものです。
こちらのネットワークに登録されている物件は、全ての不動産会社が買主に紹介できるので、売主は短期間で家を売る機会が増えるというメリットがあります。
ところが売り物件をレインズに登録せず、他の不動産会社には物件を売らせない、自社単独で販売するという不動産業者が多くなっています。
その理由を簡単にいえば「手数料」の問題です。
不動産業者は、物件を販売した手数料として物件価格の3%を受け取ります。
売主と買主の両方から手数料がもらえれば2倍の価格を受取ることができ、それを目的として行うのが「囲いこみ」という方法です。
不動産業者の利益のために物件が「囲い込み」をされてしまうと、1箇所の不動産業者でしか販売活動が行われないため、売却にかなりの時間を要することが予想されます。
家には売るタイミングというものがあります。
好条件で売却できるはずなのに、そのタイミングを逃すと多大な損害をこうむる危険性があります。
次に問題となるのが「売り止め」です。
売り止めを行う場合はレインズへの登録は行われるものの、他の不動産業者から問い合わせがあっても、「今、あの物件は交渉中で」「もう買主が現れました」と嘘の情報を提供して、他の不動産に売らせないようにします。
こちらも、囲いこみ同様に仲介手数料の独占を目的とした手法です。
「囲い込み」「売り止め」を放置するとどうなる?
売り止めや囲い込みを放置していると、いったいどうなるのでしょうか?
タイミングよく優良な買主が現れれば、売主に大きな損害を与えることはないでしょう。
しかし、不動産情報ネットークのレインズを活用せず、1社の力だけで家を販売しようと思ってもそんなに簡単に家が売れるわけがありません。
売るタイミングを失った家は、次第に買い手が付きにくい状態となり、さらに売れにくくなります。
その結果、家を売るための手段として、価格の値下げが必要となります。
希望価格で家が売れなければ、売主にとって大きな損失となります。
このような事態にならないためにも、「囲い込み」や「売り止め」が少しでも確認できたら、速やかに改善もしくは契約解消を申し出るようにしてください。