「家を急いで売りたいわけではないが損は絶対にしたくない」、「できれば希望の価格で売却したい」と考える方も少なくありません。
希望価格で家を売るためには、一般的な売却よりも時間がかかることがあります。
いくら希望価格で売りたいからといって、家の売却に時間をかけすぎると、逆に売主に大きな損が発生する恐れがあることをご存知でしょうか?
ここでは、家を長期にわたって売りに出したときに発生しやすい損とその3つの理由について紹介します。
販売期間が長い物件は値下げされる?
不動産情報をある程度詳細に見ていると分かることがあります。
販売期間が長く、市場に長期にわたって出されている物件は、ある時期を境に売却価格がグッと安くなる傾向があるということです。
販売期間が長期化することで、売却価格が大幅に値下げされる3つの理由を具体的に紹介します。
1.資産評価価値が下がる?
不動産の販売期間が長くなると、比例して物件の資産価値は下がる傾向があります。
特に中古物件など築年数が経った家は、時間の経過とともに劣化が著しくなるため深刻です。
売りのタイミングを逃してしまうと希望の価格で売ることが難しくなり、激安で販売することになるので売主の損になる可能性が出てきます。
住宅ローンが残っている場合は、さらに深刻です。
家を売ったお金でローンが全額返金できないとなると、抵当権を外すことができないため、売却自体が白紙になるケースも考えられます。
大規模なリフォームや修繕をかけて、新たな売却物件として出直す方法もありますが、リフォームやリノベーションなどにかける費用は高額で別の借金を抱えることも予想されます。
いずれにせよ、売主の負担は相当なものと考えるといいでしょう。
2.新築物件が中古物件になる?
次は新築物件が中古物件として扱われるというケースです。
新築の家はわずか1年で中古物件となります。
不動産業界では品確法という法律に従って、新築を「竣工後1年未満かつ未使用」と定義しています。
そのため家を売りに出してから1年を経過しても売れない場合、自動的に中古物件と扱われるようになるのです。
新築と中古物件では買主に与える印象も大きく異なります。
売却価格も大幅に下げる必要が生じることが多く、売主の売却益が減って損をする可能性があるのです。
3.諸経費が売主を圧迫する?
家の売却期間が長期化することで、新たに売主に発生するのが諸経費です。
税金や維持管理費は言うに及ばず、販売活動にもさまざまな経費が必要になります。
売りに出している物件を使用していない状況でも、固定資産税や住宅のメンテナンス費などは発生し続けるからです。
家の維持管理や内覧者への対応のために、電気や水道を使える状態にしていれば光熱費も必要となります。
販売活動が長くなるほど、これらの費用を払い続ける必要があるわけです。
オーナーの中には「無駄な経費を払うよりは、大幅な値下げをしてでも家を売りたい」という考えの方もいますが、結局のところ売主だけが損をする結果になってしまうでしょう。
以上のように、いくら希望の価格で売却したいとはいえ、家には「売るタイミング」や「売れる時期」というものがあるのです。
そのタイミングを逃してしまうと、売主がたくさんの「損」をこうむることになります。
売却までに長期化が予想される場合は、不動産業者と再度相談をかさねたうえで慎重に対応するようにしましょう。